親はしろうとである
  親は非難されるが訓練はうけていない。

何百万という新しい父親や母親が毎年生まれ、人間の仕事のなかでもいちばんむずかしい

仕事につく。ほとんどなにも自分でできないちいさな人間の肉体的、精神的健康に全責任を

負い、生産的・協調的で、何かの貢献ができる社会人にそだてあげるという親業に。

これほど困難で、能力や努力を必要とする仕事がほかにあるだろうか?

しかも、そのための特別な訓練をうけた親が何人いるだろう。

親業者のためにどんな訓練プログラムがあるというのか。

親業を効果的に果たすのに必要な知識や技能を、一体どこで手に入れたらよいのだろう。

私は、この空白を埋めるための小さな第一歩を、1962年、私の住むカリフォニア州

パサデナ市で開始した。

PET、つまり親業訓練は、すでに問題を引き起こしている子どもの親だけでなく、幼い子ども

の親や、子どものまだいない夫婦にも、十分役立つ。そういう若い親にとっては、親業訓練

が「問題発生前の訓練」となり、問題を未然に防止する助けとなっている

 

             (『親業』トマス・ゴードン著 近藤千恵訳 大和書房)
inserted by FC2 system