避けられない親子の対立 
  ほとんどの親は、対立を嫌がるし、対立が生じると非常に困って、建設的に

処理するには、どうしたらよいかわからないで混乱してしまっている。ところが

実際には人間関係の中で、長期にわたって一人の人の欲求が他の人の欲求と

対立しないほうが珍しい。二人の人、二つのグループが共存すれば、対立の起

こるほうが当然である。人は一人一人違い、違った考え方をし、異なった欲求・

欲望をもつものだから。

                      (中略)

家庭での対立は自然な現象だとして、オープンに口に出して認めていけば、

子どもにとって思ったよりもはるかに健康的な影響を与える。

こういう家庭では、子どもは対立・葛藤を経験し、それに対処する方法を身につ

け、人生の後の段階で同じことがあった時の準備をする機会を与えられる。

家庭の外で、出会う人間関係に避けられない対立・葛藤に必要な準備と考え

れば、家庭内での対立は建設的に解決されさえすれば、実際には子どもに有

益であるとすらいえよう。

 対立が何度起こるかでなく、どうやって解決されるかこそが、あらゆる人間

関係で一番の決定的要因である。これこそ、その人間関係がどんなものになる

か・・・・・健全か、不健全化、お互いに満足いくものか否か、友好的なものか、

否か、深いか浅いか、親しいものか冷たいか・・・・・を、決定するうえで、

「もっとも重要で決定的」なものであると私は考えている。

(「親業」トマス・ゴードン著 近藤千恵訳 大和書房)
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