なぜ第2法は効果がないか
 子どもが勝って、親が負けるのが日常という家庭で育った場合、それが子どもにどんな影

響を与えるか?自分の意見を押し通すことが子どもに与える影響は何か?

主に第1法で対立・葛藤を解決している家庭の子どもと同じに育たない事は確かだ。

いつも自分の意見を押し通すことが許されている子ども(第2法)を第1法の子どもと比べると

反逆性、敵意、依存性、攻撃性、従属性、同調、おべっか使い、引っ込み思案などの特徴

が少ない。親の権力への対処法を考える必要がなかったからだ。第2法では、親の犠牲の

もと、親に対し、「子ども」の権力を使うことをのばすことになる。

こういう子どもは、親を自分の考えるようにさせるために激しく泣き叫ぶことを知っている。

親に対し、悪口や非難がましい事を巧みに言える。

乱暴で、注意しても聞かず、始末が悪く、衝動的であることが多い。

他の人の持ち物であれ、感情であれ、尊重しない。

彼らにとって、人生は取る、取る、取るであり、「私」がまず最初にくるし、家庭で協力して

手伝ったりすることはまれだ。

第2法の一番深刻な影響は、親の愛情に不安感を抱くことが多いことである。

親の敗北と言う犠牲のうえに、いつも勝利を獲得する子どもに対し、それでも愛情と受容を

感じることが親にとっていかに困難かを考えれば、この反応は容易に理解できると思う。

第2法(子どもが勝つ)の親にとって、親になる、親業を果たすことは、めったに喜びにつな

がらない。愛せない子ども、関係をもつのが嫌になるような子どもを育てるのは、なんと不幸

で悲しいことか!



『親業』/トマス・ゴードン著 大和出版
inserted by FC2 system