問題児は、問題親がつくる
  私は17年前に、問題児は問題親がつくる、つまり子どもの問題は親に責任があるのだ、

ということに気づいて、それまで子どもの精神療法を行っておりましたのを、親に対する

教育へと転換いたしました。(中略)

私の親子関係についての考え方をひとつ紹介させていただくと、私は、たとえ

親子関係であっても、親と子という二人(または三人)の全く独立した人格を持

つ人間同士の関係であると見るべきであって、絶対に子どもを親の所有物と

考えてはならない、と思います。

子どもの問題を親が自分の問題としてしまっているところに、今日の親子関係

のひずみの大きな原因があります。

親は子どもの援助者に徹するべきであって、決して子どもの問題の解決者や

決定者になるべきではないと思います。子どもの援助者になることによって、

子どもは自ら自立性を育て、また他人への思いやりも育てていくのです。

日本でも最近子どもの問題が重要な社会問題になりつつあると聞いていますが

子どもが非行や暴力行為に走ってしまう以前に、実は家庭での親子関係の不

完全さが影響している場合も多いものです。

子どもに必要な時に十分な愛情を与え、必要な時に十分自律的に行動できる

ような訓練がされていないということではないかと思います。


       1981年来日 記者会見およびインタビュー
                 (月刊「教育の森」81年11月号より)

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