しつけにかわるものが必要だ 
 しつけ問題について、深い研究が必要だと感じたのは、前に書いたライト博士の本を

読んで、深いショックを受けたのが、直接のきっかけである。私は、しつけは必要だという

あらゆる本を読破した。規律、しつけ、罰、力、子育て法などについての調査研究論文に、

目を通してきた。驚くほど多くの本や研究があった。

そして、しつけと規律の問題がいかに複雑かを、ますます知らされた。

複雑さを解き明かし、この問題の理解を深めていくうちに私の決意は固まった。

規律としつけの問題を、もっとよく知りたい方に、自分が学んだことを知ってもらおうと・・・

その結果が本書である。

第一部では、しつけ・規律とは何か、を検討する。

第二部では、懲罰的なしつけにかわる、効き目のある方法を、数多く紹介したい。

本書を書いている間にも、私たちの社会には、深刻な青少年の問題が起き続けている。

酒や麻薬の中毒、喫煙、非行、退学、飲酒運転、暴行・暴力行為、未婚の妊娠、レイプ、

自殺などだ。

自己破壊的で、社会的に受け入れにくい行動だ。青少年をダメにし、ひいては私たちの社会

を弱体化する、深刻な問題である。

家庭や学校、青少年にかかわる組織団体などで、大人は新しい民主的な運営方法を身に

つけなけれはならない。

「きびしく」しても、問題の原因は取り除けないのである。


(『自立心を育てるしつけ)』トマス・ゴードン著 近藤千恵訳 小学館

inserted by FC2 system