第1法と第2法の問題点
 第1法(親が勝つ)、または第2法(子どもが勝つ)だけしか使わない親は、まずいない。

また、片方の親は第1法を、もう片方は、第2法を使うという家庭も多い。深刻な情緒障害に

陥るのは、こういう家庭で育てられた子どもに多く、ある決まった方法を極端な形で実行する

よりも、一貫性を欠いたほうが望ましくない、ということのようである。

第一子には、第1法を主に使い、第二子には、第2法を使ってみる親もいる。こういう家庭で

は、第一子が、自分が許されなかったことを許されている第二子に対し、強い反発を示すこ

とが多く、時には、これは親が第二子を強く「ひいき」している証拠だと思い込むことがある。

多くの親は、第1法、第2法のいずれか一方を主に使う事が多い。自分の信条とか伝統とか

で、第1法を強く信じている親がいる。ところが、実際の経験ではこの方法はうまくいかない

し、ときには、第1法を使う親であることに、罪の意識を感じる事もあるかもしれない。

第2法を使う親は、子どもとの間に(一般に他人に対してもそうだが)対立が起こるのを恐れ

るがゆえに、第2法のほうがやりやすい、という。そういう親は、自分の意思を子どもに押し

つける危険を冒すよりも、あらゆる犠牲を払って平和を求める行き方を取る。

諦め、子どもに訴え、降服する。




『親業』/トマス・ゴードン著 大和出版
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